2008年12月26日

No.0178 『科学的認識の射程の低さ』

   根本の問題は、「海は広いから、少しぐらい放射性汚染物質が漏れ出しても大したことはない」 という発想です。 このような発想は、本来的に刹那主義的なもので、たとえ厄介な放射性廃棄物の管理が今後何十年か大きな破綻をきたさずに行われたとしても、今後何百年、何千年の後の世代に大きなマイナスの遺産を残すであろうことは疑いないでしょう。
  つまり、このような発想は、それを支える科学的認識の射程の短さ、未来への展望の欠如を暴露しているものであり、そこに私たちは今日の科学の危機的状況、言い換えれば、そのような科学者の判断に人類の未来を委ねることの危険性を感じざるをえないわけです。 同時に、放射性廃棄物の問題に示される原子力開発の状況は、この技術が長期的な射程を考えれば、いかに創造性・生産性を欠いたものであるかを示しています。 たかだか何十年かのつなぎのエネルギーを得るために、百万年にもわたる放射性物質の厳重な管理を必要とするような技術が、いったい生産的であると言えるでしょうか。 このことに大半の科学者たちは答えようとしないのです。
高木仁三郎 『科学は変わる』





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posted by Vigorous at 23:27| 自然科学、環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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