2008年12月26日

No.0177 『偏見と直感の自己チェック』

   「世論」が民主政治の原動力と考えられている以上、当然これについては膨大な文献があると思うだろう。 しかしそれが見当たらない。 政治や政党、つまり世論が形成された後に理論上これを表現するはずの仕組みに関してはすぐれた書物がある。 ところが、そうした世論がどのような源に発し、どのような過程を踏んで導き出されてきたかについてはほとんど書かれていない。 「世論」と呼ばれる一つの力の存在は大筋において認められている。  (中略) しかし、政治的現象に対する我々個人の見解が正当なものかどうかを、どのようにして確認するのか。 この点については、すでに働いている諸原理がさらに発展するにつれて抜本的な変革が起きると見込まれている。 しかしその原理の発展いかんは、我々にかかっている。 意見が統合されていく過程についての知識を、我々自身の意見が統合されていく過程でそれらを見守り通すためにいかにうまく活用できるようになるか、そこにかかっている。  (中略) 偏見と直感だけでは充分ではないという信念がそのコミュニティ全体に成長していないかぎり、事実に基づいた意見を練り上げても満足な支持を受けられないであろう。 そうした信念は自己批判の精神の成長に伴って強くなり、それによって我々はくだらない政治演説に気づき、それを用いる自分を疎ましく思い、また、それと見破れるように用心深くなる。 自分たちが読んだり、語ったり、決定したりするにあたって意見を分析する習慣が身にしみついていないならば、我々の大半は、もっとよい考え方が必要だとも思わず、よりよい考えが出現してもそれに関心を抱くこともなく、政治の情報が新手の技術で操作されるのを防ぐこともできないであろう。
Walter Lippmann 『Public Opinion』
リップマン 『世論』





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posted by Vigorous at 23:26| 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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