2008年12月15日

No.0155 『でっち上げの過程』

   同一と考えられる物語りも、それに耳を傾けるすべての人にとって同一の物語というわけではない。 まったく同じであるような経験は二つとないから、人それぞれにわずかずつ異なったところからその物語へ入っていくのである。 彼はその物語を自分流のやり方で再経験し、その物語を自分の感情で満たす。  (中略) 物語が伝わるうちに通過するさまざまの人々の頭によって、その主題は強調され、歪められ、尾ひれがつけられるのである。  (中略) 
  本当の話しであろうとでっち上げであろうと、それぞれのゴシップに加わっている人たちの手で、もとの話に翼や角が生え蹄や口ばしまでくっつくのである。 最初に語った人の話は、ついにはその格好も大きさも原型をとどめない。 この話を聞いて白昼夢がわりにし、次の人に伝える際にいじくりまわす人たちが、よってたかって編集改訂するからである。 その結果、話を聞く人が雑多あればあるほど、その対応の仕方もますます多様になる。 聞き手が多くなるにつれて、共通の語彙の数が減少していくからである。 こうしてその物語のなかの共通の要素は抽象性を増してくる。 元通りの性格を失ってしまった物語は、千差万別の性格をもった人々に聞かれる。 そして彼らは自分自身の性格をこの物語に与える。
Walter Lippmann 『Public Opinion』
リップマン 『世論』





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posted by Vigorous at 21:36| 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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