2008年12月07日

No.0138 『ステレオタイプG』

   外からの刺激は、とくにそれが印刷文字や話し言葉であるときは、ステレオタイプの体系のいずれかの部分を多少とも呼び起こすことになる。 そのため、刺激による実際の感覚と先入観が同時に意識を満たすことになる。 青色のガラスを通して赤色を見ると緑色に見えるのと同じように、実際の感覚と先入観は混じり合う。 我々が現に見ているものが我々の予期していたものとうまく一致していれば、そのステレオタイプの将来にわたっていっそう強化される。 ちょうど、「日本人はずるい」と前から知らされている人が、あいにくと不正直な日本人二人とたまたま続けざまに出くわしてしまったようなときがそれである。
  もし現実の経験がステレオタイプと矛盾するときは、次の二つのうちいずれかが起こる。 当人がもはや柔軟性をなくしているか、あるいは何か強烈な利害関係があるために自分の持っているステレオタイプを再構成することが極めて不都合になっているような場合、彼はその矛盾を忘れようとつとめる。 しかし、当人がなお好奇心が強く開かれた心の人であれば、その新しい経験はすでに頭にある画像の中に取り込まれ、それを修飾することが許される。 さらに、その事件がきわめて衝撃的なものであるとき、そして彼が既成の体系に大きな不満を抱いているとき、彼は非常に動揺して、それまで受け入れていたあらゆる人生観に不信を抱き、物事というのは普通そうであろうと考えられているようなものではけっしてないと思うようになることすらあり得る。
Walter Lippmann 『Public Opinion』
リップマン 『世論』 (一部改)





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posted by Vigorous at 19:34| 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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