2008年11月22日

No.0102 『希望と結果』

   人間は、希望を持っているから人間なのである。 人生はどんなに長くたっていつかは必ず死ぬのである。 結果は分かっているといえば、はじめから人生の結果は分かっている。 しかし、山に登るのだって 「どうせ下りてくるのだから」 といえば元も子もない。 偉大な人間は 「そこに山があるから」 と登るのである。 この登山家と空しさを口にする人とは生きている前提が違う。 「どうせ吐く息だから吸わない」 とでもいうのだろうか。 日本人は毎年暮れになれば『忠臣蔵』を見る。 結果は分かっていても見る。 そして時には何回でも同じところで涙を流す人もいる。 結果が分かっていながらなお戦うところに人間の偉大さとゆとりがある。 昔の武士は死を大切にした。 死ぬと分かっていながら、その死に方を考えた武士には、どこをさがしても現代人の味わっているような空しさはない。 負けを覚悟で、戦闘に出かけていく。 分かっている結果を見事に演じるために戦闘に出かけていく。 「結果が分かっている」 から希望を捨てたのではない。 希望を捨てたからこそ 「結果が分かって」 しまったのである。
加藤諦三 『自分の構造』





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posted by Vigorous at 18:22| 努力、革命 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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